ウォールデン
故郷リトアニアをナチスによって追われ、アメリカに亡命したジョナス・メカスは、ブルックリンで16ミリカメラを手にし、日々の出来事をフィルムに記録していった。刺激的な60年代のニューヨークで詩人、映画作家、映画批評家、アンダーグラウンド映画上映のオルガナイザーとして多方面にわたり活躍するようになったメカスは、1969年に毎日撮りためていた映像をまとめて、映画として発表する。自在のカメラワークと情感豊かな詩情に満ちた本作は、たちまち人々の心をとらえ、アメリカのインディペンデント映画史の名作として語り継がれるようになった。アンディ・ウォーホルと彼の“ファクトリー”のメンバーたちによるパーティー、ギンズバーグらビートニクの詩人たちのリーディングの様子、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド結成時のライブ映像、ジョン・レノンとオノ・オーコによる“ベッド・イン”の模様など、文化の歴史的な瞬間の貴重な記録にもなっている。
日記映画というジャンルを創設し、メカスの映像作家としての名を一躍高めた不朽の名作。