吸血鬼ノスフェラトゥ
変わり者のレンフィールド社長に呼ばれ、ロンドン転じてブレーメンに家を持ちたいというオルロック伯の依頼でトランシルヴァニアに赴くヨナソンは、途中食事に立ち寄った宿屋で夜発つのを止められる。魔物を彼らは恐れているのだ。そして、伯爵の城もまだ見えぬのに馬車を降ろされた彼に迎えの馬車が。待ち受ける伯爵その人は長釘のように痩せ、不気味に爪を伸ばし、その歩き方ときたら形容し難い異様さだ。食事の席でパン切りナイフに怪我したヨナソンの指先の血を凝視する伯爵。彼はその夜、早速、首筋を噛まれ、その血を試飲されるが、翌晩は妻レーナの霊感で、拒絶の叫びが届いて救われる。が、彼は自室に幽閉となり、その間に伯爵は自ら棺ごと馬車に乗り、港から船に乗った。一方のヨナソンは脱走を図って昏倒し、農家の世話になって出遅れる。船中では乗組員が次々ペストに倒れる。棺の割れ目から覗く沢山の鼠……。そして、伯爵の上陸と共にブレーメンをその伝染病が席巻。錯乱して牢中にあったレンフィールドは“御主人”の到来と共に驚喜する。ヨナソンは陸路を急ぎ愛妻のもとに駆けつけるが、その時、ニーナは一滴も残さず自身の血を吸血鬼に与えることで、町を救おうとしていた。彼女の血を味わうのに朝の来るのも忘れた伯爵は日の出と共に灰と消えた。