46億年の恋
(C)2006「46億年の恋」パートナーズ
監獄の闇の中、一人の少年が力を込めて青年の首を絞めていた。少年は馬乗りになり、絞め続ける。青年はとっくに絶命している。美しい瞳に涙を浮かべながら、絞め続けるのだった。犯行を発見した看守たちは、すぐに少年を取り押えた。脱力したように抵抗しない少年は、「ぼくがやりました」と悲痛なまでに叫び続けるのだった。加害者の有吉は、以前ゲイバーで働いていて、客に性的暴力を受けたことから殺害し、男が絶命した後も執拗に痛めつけた。今回の事件と関連が疑われる。被害者の香月は幼い頃から様々な犯罪を犯し、最後は路上で人を殴り殺した。そして、偶然にも、有吉と香月は同じ日に刑務所に入ったのである。捜査が進むほどに、有吉の動機が謎に包まれていく。事件が起る以前までは、香月は有吉を守り、2人の間には暖かな空気が流れていた。雪村が言うには、「有吉と香月は肉体関係にあったのでは」。雪村は、刑務所での世渡りのために土屋と寝る男なのだ。そして、もう一人捜査線上に浮かんだのは、刑務所長だった。無気味極まりない所長は、かつて自分の妻を香月に暴行され、妻は自殺してしまった過去を持っていた。真実はどこにあるのか。「ぼくがやりました」と叫ぶ、有吉の真意とは一体何だろう。想像を超えた結末が待っていた。