カーテンコール(2004)
25才の橋本香織は、東京の出版社で、契約記者として働いている。清純派女優のスクープの仕事が裏目に出て、香織は地元の下関に近い、福岡のタウン誌に異動を命じられた。ある取材の折り、1通の手紙を貰った。それは、「昭和30年代終わりから、40年代中ごろまで下関の映画館にいた、幕間芸人を探して欲しい」というものだった。そこで香織は、映画館「みなと劇場」を取材することになった。5年前に先代の支配人が亡くなり、まだ40代の支配人にとってはあまり記憶にない。ところが、当時から働くモギリの女性・宮部絹代が覚えていた。昭和36年「みなと劇場」にやってきた安川修平は、場内整理や掃除、ビラ配りなどで働いていた。ある時、『座頭市物語』の上映中に、フィルムが切れた。そこで、彼は舞台に上がり、座頭市の物真似をして受けたという。それ以来”幕間(まくあい)芸人”となった。昭和38年良江と結婚。2年後には長女・美里が生まれた。昭和43年暮れ、テレビに主役を奪われた映画館は活気がなく、修平は解雇されるが、無給で働く。良江も工場で働き始め、貧しいながらも親子3人の楽しい日々だった。しかし昭和45年春、とうとう「みなと劇場」の舞台を去る日が来た。体を壊していた良江は修平の最後の舞台を見守り、静かに息を引き取る。この話に興味を抱いた香織は、次第に安川修平の取材にのめりこんでいくのだった。一人娘・美里を探し、「修平と美里父子を再会させたい」という香織の思いが出てきた。それは、香織自身の父親との間にある、わだかまりを溶かしていくことにも思えたのである。30年前に、韓国へと渡ったという修平を探して、香織は済洲島へと向かうのだった。
- 公開日
- 2005年11月12日(土)
- 監督
- 佐々部清
- 撮影
- 坂江正明
- 音楽
- 藤原いくろう
- 製作年
- 2004
- 製作国
- 日本
- 原題
- Curtain Call
- 上映時間
- 115
- INTRODUCTION
- 昭和三十年代から昭和四十年代の映画館。それは、庶民にとって最大の娯楽場だった。映画館で泣き、笑い、人と人とが交流し、地域の文化の発信地でもあったのである。本作は、そんな映画館を舞台に、当時の映画館で活躍する、幕間芸人たちの人生を描いた物語。監督は『チルソクの夏』『半落ち』『四日間の奇蹟』の『チルソクの夏』の佐々部清監督。『半落ち』では、夫婦の絆を描き第28回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞している。主人公香織には、『リリイ・シュシュのすべて』の伊藤歩。幕間芸人の安川修平を見事に演じるのは藤井隆。そして鶴田真由、奥貫薫、津田寛治、橋龍吾、井上堯之、藤村志保、夏八木勲など演技は俳優陣が結集している。東京オリンピック、大阪万国博・・・高度経済成長の波の中、貧しくても夢を持って、みんなが元気だった時代。そんな昭和独特の雰囲気を温かく描き、忘れかけていた懐かしさと優しさが甦る。
- STORY
- 25才の橋本香織は、東京の出版社で、契約記者として働いている。清純派女優のスクープの仕事が裏目に出て、香織は地元の下関に近い、福岡のタウン誌に異動を命じられた。ある取材の折り、1通の手紙を貰った。それは、「昭和30年代終わりから、40年代中ごろまで下関の映画館にいた、幕間芸人を探して欲しい」というものだった。そこで香織は、映画館「みなと劇場」を取材することになった。5年前に先代の支配人が亡くなり、まだ40代の支配人にとってはあまり記憶にない。ところが、当時から働くモギリの女性・宮部絹代が覚えていた。昭和36年「みなと劇場」にやってきた安川修平は、場内整理や掃除、ビラ配りなどで働いていた。ある時、『座頭市物語』の上映中に、フィルムが切れた。そこで、彼は舞台に上がり、座頭市の物真似をして受けたという。それ以来”幕間(まくあい)芸人”となった。昭和38年良江と結婚。2年後には長女・美里が生まれた。昭和43年暮れ、テレビに主役を奪われた映画館は活気がなく、修平は解雇されるが、無給で働く。良江も工場で働き始め、貧しいながらも親子3人の楽しい日々だった。しかし昭和45年春、とうとう「みなと劇場」の舞台を去る日が来た。体を壊していた良江は修平の最後の舞台を見守り、静かに息を引き取る。この話に興味を抱いた香織は、次第に安川修平の取材にのめりこんでいくのだった。一人娘・美里を探し、「修平と美里父子を再会させたい」という香織の思いが出てきた。それは、香織自身の父親との間にある、わだかまりを溶かしていくことにも思えたのである。30年前に、韓国へと渡ったという修平を探して、香織は済洲島へと向かうのだった。
- CASTING
- ●伊藤歩 1980年4月14日生まれ。東京都出身。93年、13歳の時『水の旅人』で映画デビュー。96年『スワロウテイル』で日本アカデミー賞新人俳優賞等を受賞。主な出演作は、『のど自慢』(99)、『リリイ・シュシュのすべて』(01)、『さよなら、クロ』、『花とアリス』、『理由』(04)など。 ●藤井隆 1972年3月10日生まれ。大阪府出身。92年に吉本新喜劇でデビュー。00年、上方お笑い大賞話題賞ほか多数受賞。主な出演作は、『模倣犯』『明日があるさ THE MOVIE』(02)など。 ●鶴田真由 1970年4月25日生まれ。神奈川県出身。大学在学中から女優として活動。主な出演作は、『就職戦線異状なし』(91)、『病は気から 病院へ行こう2』(92)、『きけ、わだつみの声』(95)、『梟の城』(99)、『ミスター・ルーキー』(02)、『半落ち』(03)、『北の零年』(04)など。 ●奥貫薫 1970年11月22日生まれ。東京都出身。89年『バトルヒーター』で映画デビュー。主な出演作は『ラヂオの時間』(97)、『リング0 バースデイ』(00)、『化粧師』(01)、『ゲロッパ!』『半落ち』(03)、『北の零年』(04)など。 ●夏八木勲 1939年12月25日生まれ。東京都出身。66年『骨までしゃぶる』で映画デビュー。主な出演作は『八つ墓村』(77)、『柳生一族の陰謀』(78)、『戦国自衛隊』(79)、『鬼龍院花子の生涯』(82)、『白蛇抄』(83)、『新・極道の妻たち』(91)、『赤い橋の下のぬるい水』『コンセント』(01)、『またの日の知華』(04)など。
- 配給会社
- コムストック・グループ