女はみんな生きている
夫ポールと二人暮らしの平凡な主婦エレーヌ。大学に通う息子ファブリスは、アパートを借りて彼女と同棲中であり、会社を経営している夫は、エレーヌのことを家政婦か共同生活者としか思っていない。エレーヌはそんな男達に振り回されっぱなしだ。ある夜、エレーヌとポールはディナーパーティーへ向かうが、向こうから血まみれの女が駆けてくる。しかも、その後ろからは数人の男たち。女は必死の形相で車の窓ガラスを叩き助けを求めてくるが、事件に巻き込まれたくないポールは、ドアをロックし女の助けを拒む。さらにポールは救急車を呼ぼうとするエレーヌを止め走り去るのだった。翌日、エレーヌは救急病院にしらみつぶしに電話をかけ、遂に女の行方を突きとめる。集中治療室で彼女の痛々しい姿を目にしたエレーヌは、どうしてもそこから立ち去ることができず、家庭も仕事も放棄して介護を始めるのだった。女の名前はノエミ・トッカ、22歳、職業は娼婦。ノエミはエレーヌの献身的な介護により次第に回復していく。その間、家では汚れたキッチンに洗濯の山。夫はアイロンひとつかけられない。ある日、エレーヌが一時帰宅をした隙に、売春組織のボスであるパリが病院にあらわれ、ノエミを連れ出してしまう。が、間一髪のところで、エレーヌは体当たりでノエミを助け出す。しばらく姿を隠そうとエレーヌとノエミが向かったのは、ポールの母の家だった。ノエミは、自らの生い立ちを語り始めた。政略結婚からの逃亡、売春組織のトゥキとの出会い、娼婦としての日々、大富豪から騙し取った莫大な遺産、その遺産を狙う組織から逃れようとしたあの夜。そして、平凡な暮らしの中に現れたノエミを無我夢中で救おうとしたエレーヌだったが、いつしか自分が救われていることに気づくのだった。そして、ついに女たちのとんでもない反逆が始まるのである。
- 公開日
- 2003年11月15日(土)
- 監督
- コリーヌ・セロー
- 脚本
- コリーヌ・セロー
- 音楽
- リュドヴィク・ナヴァール
- 製作年
- 2001
- 製作国
- 仏
- 原題
- CHAOS
- 上映時間
- 112
- INTRODUCTION
- 本作は、本国フランスで130万人以上を動員し、半年以上の驚異的な大ヒットロングランを記録した作品。またフランス・アカデミー賞であるセザール賞で作品賞を始め5部門にノミネートされた。監督は女性監督コリーヌ・セロー。『赤ちゃんに乾杯!』が空前の大ヒットを記録し、その2年後にハリウッドで『スリー・メン&ベイビー』としてリメイクされ世界中を笑いの渦に包んだ。その後、『女と男の危機』を発表し、コメディの覇者として不動の地位を築いている。平凡な主婦が目覚め変化していく過程を演じるのは、セザール賞主演女優賞候補のカトリーヌ・フロ。美しいアルジェリア人娼婦を演じるラシダ・ブラクニは本作でセザール賞最有望若手女優賞を受賞している。彼女は、知的で美しくスタイルが抜群なだけでなく、陸上選手としてフランス代表になった程の俊足の持ち主。現在はコメディフランセーズに所属しており本作の成功によりフランスで一躍人気スターとなった。仕事中心の生活を送る夫を演じるのは、ベテラン俳優ヴァンサン・ランドン。撮影監督には『ベティ・ブルー』のジャン=フランソワ・ロバン。また音楽はフランスのクラブジャズ界の第一人者であるDJリュドヴィク・ナヴァール(サン・ジェルマン)。夫婦が外出するトップシーンで流れる「RoseRouge」「So Flute」はマンネリ気味の男女の無関心さを漂わせる。そして、ドラマのエンディングをしっとりと締めくくるのは、J.S.バッハの「ゴールドベルク変奏曲」の第一曲「アリア」。女たちへの鎮魂歌により『女はみんな生きている』を単なるコメディ映画で終わらせない感動のラストヘと観客を誘う。製作のアラン・サルド、編集のカトリーヌ・ルノーなど常連のセロー組に加え、ジャンルを超えた個性派スタッフたちが結集している。
- STORY
- 夫ポールと二人暮らしの平凡な主婦エレーヌ。大学に通う息子ファブリスは、アパートを借りて彼女と同棲中であり、会社を経営している夫は、エレーヌのことを家政婦か共同生活者としか思っていない。エレーヌはそんな男達に振り回されっぱなしだ。ある夜、エレーヌとポールはディナーパーティーへ向かうが、向こうから血まみれの女が駆けてくる。しかも、その後ろからは数人の男たち。女は必死の形相で車の窓ガラスを叩き助けを求めてくるが、事件に巻き込まれたくないポールは、ドアをロックし女の助けを拒む。さらにポールは救急車を呼ぼうとするエレーヌを止め走り去るのだった。翌日、エレーヌは救急病院にしらみつぶしに電話をかけ、遂に女の行方を突きとめる。集中治療室で彼女の痛々しい姿を目にしたエレーヌは、どうしてもそこから立ち去ることができず、家庭も仕事も放棄して介護を始めるのだった。女の名前はノエミ・トッカ、22歳、職業は娼婦。ノエミはエレーヌの献身的な介護により次第に回復していく。その間、家では汚れたキッチンに洗濯の山。夫はアイロンひとつかけられない。ある日、エレーヌが一時帰宅をした隙に、売春組織のボスであるパリが病院にあらわれ、ノエミを連れ出してしまう。が、間一髪のところで、エレーヌは体当たりでノエミを助け出す。しばらく姿を隠そうとエレーヌとノエミが向かったのは、ポールの母の家だった。ノエミは、自らの生い立ちを語り始めた。政略結婚からの逃亡、売春組織のトゥキとの出会い、娼婦としての日々、大富豪から騙し取った莫大な遺産、その遺産を狙う組織から逃れようとしたあの夜。そして、平凡な暮らしの中に現れたノエミを無我夢中で救おうとしたエレーヌだったが、いつしか自分が救われていることに気づくのだった。そして、ついに女たちのとんでもない反逆が始まるのである。
- CASTING
- ●ヴァンサン・ランドン(ポール) 1959年7月15日生まれ。パリ・ブローニュ出身。83年、「Le Faucon」で映画デビュー。主な出演作は「真夜中のミラージュ」(84)、「復讐のビッグガン」(85)、「ベティ・ブルー」(85)、「ア・マン・イン・ラヴ」(87)、「スチューデント」(88)、「男と女の危機」(92)、「不レッド」(97)、「第7天国」(97)、「パパラッチ」(97)など。 ●カトリーヌ・フロ(エレーヌ) 1957年5月1日生まれ。パリ出身。14才でヴェルサイユ演劇院の演技コースへ。74年、国立舞台芸術高等学校に入学し、在学中に劇団赤帽を旗揚げ。79年、「アメリカの叔父さん」(80)で映画デビュー。84年「C階段」でセザール賞ノミネートされる。主な出演作は「奇人たちの晩餐会」(98)、「La dillettante」(99/モスクワ映画祭最優秀女優賞)、「トムとローラ」(90)、「パリ、18区、夜。」(94)、「ヌーベル・イヴ」(99)、「水曜日は大忙し」(01)、「シュシュ、パリデビュー」(03)など。 ●ラシダ・ブラクニ(ノエミ) 1977年生まれ。97年、舞台「リチャード3世」「ル・シッド」に出演。本作の演技でセザール賞とリュミエール賞有望若手女優賞を受賞。主な出演作は「Une couleur cafe」(99)、「Une cle de chez elle」(01)、「Man accident」(03)など。 ●リーヌ・ルノー(マミー) 1928年7月2日生まれ。フランス・アルマンティエール出身。歌手としてデビューし、人気ラジオ番組にレギュラー出演して国民的人気を得る。49年、レコード「カナダの私の小屋」が大ヒットし、ディスク大賞を受賞。ヒット曲「フルフル」「パリの空の下」「人の気も知らないで」などを連発。55年、「La Madelon」で映画ヒロインに初挑戦。芸能生活50周年で「ベル・ママン」(99)に出演しセザール賞候補となる。
- 配給会社
- アスミック・エース