法条遥の「リライト」を〈タイムリープ✕青春ミステリ〉として誕生させた映画『リライト』の舞台挨拶付き完成披露試写会が開催され、池田エライザ、阿達慶、橋本愛、松居大悟監督、上田誠(脚本)が登壇した。
大きな拍手と歓声に包まれながら登壇したゲスト陣だが、まず主人公の石田美雪を演じた池田は、「記念すべき日に皆さんと過ごせることが嬉しい。まっさらな状態で皆さんがどんな感情を抱くのか、感想や考察をとても楽しみにしています」。続いて、300年後の未来からやってきた転校生・園田保彦を演じ、ジュニアとして活躍しながらも本作が映画初出演となる阿達は「『やっと観てもらえる!』という気持ちと『どう受け取ってもらえるんだろう』というワクワクと、色んな感情が巡っています」とフレッシュな気持ちを語った。


また、美雪の同級生・雨宮友恵を演じた橋本は、「原作小説をすでに読まれている方はいらっしゃいますか?(ぱらぱらと手が挙がると)すごい!そうです、私が“謎の人物”です。よろしくお願いします。」と挨拶すると場内が笑いに包まれる。松居監督は「2年前の夏に撮影し、ようやく皆さまにお披露目する機会となり嬉しいです。実は先日(イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭で)ワールドプレミアがあり、今回が2回目の上映なのですが、イタリアの観客のみなさんはとても前のめりで鑑賞してくれて、声を出してくれたり、ラストの展開になっていくにつれ阿鼻叫喚という感じで感じたことのない経験だったので、今回も観ていただくことが楽しみです」、脚本を務めた上田は「ひと夏の甘酸っぱい青春ものでありながら、凶悪で完全無欠な作品が出来上がりました。いよいよ公開されるんだなという気持ちが高まっています」と喜びを語った。

また、大林宣彦監督の『時をかける少女』へのオマージュを込め、オール尾道ロケで撮影した本作。印象的なロケ地について聞かれると、池田は「目の前に海が広がっていて、振り向くと山があって…ここで摩訶不思議なことが起きてもなんだか頷けちゃう。そんな場所でロケが出来て、すっと物語に馴染むことが出来ました」、松居監督も「とても穏やかな空気で、時間が止まったような感覚。だからこそそんな街で起きるタイムリープというのが、皆さんをどんな旅に連れて行ってくれるのだろうかと思います」と尾道の美しい思い出を回想する。

その後、演じる上で難しかったことについて、阿達は「300年後から来た未来人ということで、最初はどういう役なんだろう?と疑問しかなかったのですが、あえて常に自然体でいるということを頑張りました。一生懸命自然体で未来人を演じました」と微笑ましいコメント。池田は、「これまで特殊な役をやってきたけど、高校生をやるということで、何かを足すことは出来ない。あくまで引き算を意識して、『いつから私はすっぴんで出て良いことになったんですか?(笑)』と確認しちゃうくらい、素のままで演じました」と引き算の演技を心がけたことを語り、橋本は「保彦役の阿達さんとは、実年齢は10年くらい離れているのに同級生として演じたので、その若さを盗むぐらいの気持ちで演じていました(笑)。阿達さんの自然体でピュアで得体の知れない感じは、“未来人”感もあり、その空気感に助けられました。(池田さん演じる)美雪とは、仲の良いシーンもありながら、でもお互いに完璧に心を開き合ってはいない関係というところで生々しさもありつつ楽しめました」と物語のキーパーソンとなる役どころについて慎重に答えた。

続いて、脚本を書く上で意識したことについて、上田は「原作の帯に“史上最悪のパラドックス”と大きく書いてあって、これを映画化したら面白そうだと思って松居監督に相談したら、松居監督がこの映画を尾道で撮りたいと言い出して、最初は『映画の聖地で…!?』という不安もあったのですが、エヴァーグリーンな王道の青春物に乗った、時間のパズルとエモーショナルを兼ね備えた映画になったと思います。松居監督はキャスト陣について、「池田エライザさんと橋本愛さんを一つの画角に収めるというのは、映画作家として全員の夢だと思います。初共演の2人の相乗効果が感じられて撮っていて幸せを感じました」。阿達については「オーディションで出会いましたが、初めて甥っ子に会った時のような、なぜかみんながニヤニヤしてしまう感じが印象的で…クラスにやってくる謎の転校生としてピッタリだなと思いました。阿達くんと出会えて、保彦を教えてもらいました。」と“未来人”としての説得力を語り、阿達も「めっちゃ嬉しいです!」とにんまり。

さらに、SNSで募集した質問を発表。撮影中に印象に残ったエピソードについて聞かれると、池田は「(橋本さん演じる)友恵と美雪が図書室で話しているシーンで、ちょっとしたアドリブもあって、本当に学生時代のように本について話してみたり、友恵の素の部分が初めて垣間見えて、ときめきました」と橋本演じる友恵との友情を感じさせるエピソードを披露。阿達からは、「(茂役の)倉(悠貴)くんとの思い出。尾道のホテルで、ドアの向こうから『保彦~!保彦~!』と声が聞こえてきて、びっくりしてドアを開けたら倉くんがいて。翌日に倉くんとのシーンがある日だったので、一緒に練習してくれて、本当の同級生のようでした。優しくて、お兄ちゃんみたいな存在でした」とまさに青春を感じさせる素敵なエピソードを語る。続けて、大人になった美雪が小説家になることにちなみ、“もし本を出版するとしたら?”という質問に、池田は「SNSに載せきれない猫の写真がたくさんあるので、猫の本を作りたい」と語ると、猫に反応した阿達も、「僕、“あだちねこ”っていう自分のオリジナルの猫のキャラクターがあって、飼ってはないのですが、それこそ尾道を舞台に“あだちねこ”の絵本を作りたい」と独特の世界観溢れるトークを繰り広げ、会場からは歓声が上がる。
また、映画のタイトルにちなんで、「学生時代の“リライト”したいこと」エピソードを学生時代の写真とあわせて発表。池田は高校時代にギターを持っている写真を見せ、「当時カリスマJKみたいな感じで取り上げていただくこともあったのですが、実際はギターを背負って土手に行くような高校生でした。リライトするなら、ケンカするほど仲が良いというような友達を作ってみたいです」。

続いて阿達は、中学時代の犬と映った寝顔の写真を披露すると、「実は高校時代の写真がなくて…。既に(事務所に)入所していてイベントにもあまり参加出来なかったので、高校時代に戻ったら、青春を謳歌…出来なそうだけど(笑)、写真をたくさん撮ったり思い出を作りたいです」と願望を語る。

橋本は、中学時代の写真を見せると、「今だったら先生ともっとやり合えたと思う!あの頃は怒られても落ち込んで帰るだけだったけど、今なら理詰めで言い返せると思う。(笑)」と大人になったからこその独特の持論を語り笑いを誘った。上田は高校時代の写真を披露し、「当時、ゲームのプログラミングをしていたのですが、表向きはバレー部やバドミントン部に所属していたんです。それをリライトしたい。スポーツを辞めて、もっと早くものづくりを始めていればよかった」と語った。


松居も高校時代の写真を披露すると、「僕は小さい頃からずっと天然パーマで、それがすごく嫌だったんです。今だと、天パでよかったですねと周りから言われたりもするのですが、当時は受け入れられなくて一生懸命髪を引っ張ったりして…『そんなに気にしなくていいよ』と言いたい」とコメントすると、阿達は松居に「天パだったんですね!」とチャーミングな反応で場を沸かせた!

最後に観客に向けてのメッセージを聞かれると、松居監督は「今日初めてこの映画を観ていただく皆さんのことを仲間だと思っています。ぜひ感じたままの感想を、誰かに伝えて広めていただけたら嬉しいです」、続けて池田は「内容について言語化するのが難しい映画。私たちが一昨年の夏に汗をかきながら尾道の風や匂いや音とか、不思議な出来事を砂浜の瓶に詰めるように閉じ込めてきたので、ぜひそれを目撃して、皆さんにとっての夏の出来事にしていただけると嬉しいと思います。そして、Rin音さんも素晴らしい曲(主題歌)を書いてくださったので、歌詞も浴びるように聴いてほしいです。」とイベントを締めくくり、大盛況のなか舞台挨拶は終了した。

6月13日(金)全国公開